任天堂の岩田さんにはいろんなことを教わったんです。その一つに、一緒に働く仲間に敬意を払う、彼/彼女らの「人間としての存在を認める」というスタンスもその一つです。
岩田さんのユニーク(独創的)なことは、他人を尊敬しその存在を認める(リスペクトフル・アプローチ)という態度は、単にそれが人として正しいからであるとか、道徳的/倫理的であるからとかという「ソフト」な面に着目したからではなくて:
・多様な人間の多様な価値観を取り込んで仕事をした方が
・自分とは異なる人間の長所、それは自分にはない長所だから、それを取り入れた方が
・より結果の可能性が広がる、という
・合目的性に着目したご意見であったということでした。
自分と同じ人間が三人いるよりも、自分とは違う理屈や理由で行動し、自分とは違う事情があって、違う価値観を持つ人間が三人集まって仕事をした方が、お互い理不尽に思うこともあるだろうけれども、結果として、お互い自分にない長所を集めることができて、今よりもずっと可能性が広がる、そんなことを、もう10年以上前におっしゃっていました。
敬意や尊敬、人格を認めること。リスペクトフル・アプローチ (respeftful approach)。
それを、道徳心や倫理性からではなくて、結果として期待できる経営的な合理性/合目的性で語る。いかにも!なお考えだと、あらためて感じました。
おまけ:岩田さんによる挨拶の定義。Greetings according to Mr. Iwata.
「挨拶とは『あなたを人として認識して、興味や関心、あるいは敬意を持っている』ということを簡潔に伝える機能を持った習慣です。お互いが認め合い、敬意を持ち合うことをスムースに実現するための人間文化が産んだ知恵だと思います」
「簡潔に伝える機能を持った習慣」!
なんとも合理的な表現です。
岩田さんはこうもおっしゃっていました。
「私は新入社員を相手に礼儀などの話をする時がありますが、 『なぜ挨拶が必要で大事なのか』を理屈、ロジックとして話すことにしています。『動物 にも挨拶行動があるが、それがなぜ必要か』そして『挨拶が、自分の仕事にどうつながるのか』というようなことを話しています」
この話を聞いて以来、ぼくも配属された新人にはぼくなりの理解で「挨拶はなぜ大切か」を伝えてきたのはもちろんのことです。
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