〜 ハリセンボンのおびれ 〜

生活と愉しみ そして回想・朽木鴻次郎

「指示」について

マネジャーが、ある課題について、メンバーと検討して、決心して、それを表示するんだけど、納得してくれる土壌や、マネジャーに影響力や強制力という「力」がないと指示を出しても聞いてくれないですという話をしました。

イメージとしてはこんな感じ。

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↓↓↓↓↓ こちらの記事で書いたことです。

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指示とは、メンバーの行動を促す・求める・強制するための意思表示である。他人の意思表示を追認するものも含む。明示的である必要はなく、黙示的な場合もある。


でね、身もふたもないことを言ってしまうとですね:

指示の内容は、指示を出した当人にしか本当のところは分からない。

だから「上司の指示があいまいでわからない」とか「部下が指示通りに動かないで困る」という悩みが尽きないのです。

中には後出しジャンケンばかりする上司もいるけど、それはちょっと別の話。

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指示には三種類ある。

   1・限定的な行動を求める
   2・幅のある行動を求める
   3・広く裁量を与える

 

身近に例えてみます。

1・限定的な行動を求める
料理を全くしない夫がいたとしよう。買い物もろくにできないのだ。さて、今晩義父母が訪問してくるというのでごちそう用にすき焼きの材料は揃えてきた... つもりだったが、シラタキを買い忘れた。こっちは他の準備もある。そこで問題の夫に「スーパーでシラタキを買ってきて」と頼むのだが.... 

いつものスーパー中村屋さんに行って、左奥の豆腐や練り物コーナーを探して、白いシラタキの、結んでないものを買ってきて。わからなかったら店員さんに聞いて!

と細かく頼む。

2・幅のある行動を求める

ある程度料理もできるし、普段、食料品の買い物もしている夫だったら...

シラタキ買うのを忘れた。いつもの買ってきて!

これですむかもしれない。


3・広く裁量を与える

コウケンテツさん*1と石田三成を足したみたいな、料理上手でとっても気の利く夫だったら......

ほら、義父さんと義母さんが二人で今晩来るでしょ? なんか美味しいごちそう作って欲しいの。ちょっと高くてもいいから良い食材買ってきてよ。すき焼きでもいいわね。まあ、みため豪華でおいしければ良いわ。とにかく任せた!

わたしは部屋の片付けと掃除しとくからさ。

となるかな。

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イメージとしてはこんな感じ(上図)。

 

ところが、上司としては、ついつい 指示以上の期待を求めてしまうのだ。

 

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例えば:

いつものスーパー中村屋に行って、左奥の豆腐や練り物コーナーを探して、白いシラタキの、結んでないものを買ってきて。

夫:白いシラタキはあったけど、結んだものしかなかったから...買わなかった。
---> 結んだものを買って帰ればいいじゃないの!

夫:黒っぽいシラタキしかなかったから...買わなかった。
---> 黒でもいいじゃない!

夫:中村屋にシラタキは全然なかったから...買わなかった。
---> 駅前のマルシンスーパーは探してみたの!?

夫:白いシラタキの結んでないのはなかったから、白で結んだのと、黒で結んでないのと両方買ってきた!
---> シラタキ鍋じゃないのよ、すき焼きよ!
 

そんなこと言われても料理や家事が全くできない夫(部下)はあなたが期待していることがわからない*2

夫の気の利き具合、つまり部下の能力に見合った指示を出さなければならない。

 

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ちゃんと、結んでない、白いシラタキは買ってきたとしても、はなはだしくはこんな風に思って、腹を立てることはないだろうか?

シラタキと一緒に、義父さんとあなたのお酒のサカナ、お刺身盛り合わせ(1,580円)ぐらいついでに買ってくればいいのに!(怒)

言われたことしかしないんだから!(怒怒怒)

.....前の彼は、そーゆーところにだけは気が利いてたんだけどな...*3

 

「言われたことをやるだけじゃダメだ。自分で考えて言われた以上のことをやれ!」

よくそういうセリフを吐く上司や経営者がいるが...

決まった額の給料を払うだけじゃダメだ。それ以上のカネを払え!
ぼくは彼らにそう言いたい。(言われたことをやってればそれで良いじゃないか?)

 

++++++++++

 

コミュニケーションは文脈と背景、課題の共有だが、共有するにせよ、相手の理解は、その相手の能力や資質に依存する。

 

以上は指示の内容、細かさについての例(?)であるが、

指示の数(マルチタスクの指示を受け止めることのできる部下もいれば、一個づつ指示をされないとできない部下もいる)

指示の形式(メモやメールの形でないとわからなくなってしまう部下もいれば、口頭の指示でもしっかりと把握する部下もいる)、とにかく。

 

部下に見合った指示を出す。

これが上司の技術です。できないのは、上司にも改善すべき余地があるということ。指示を出す技術を磨かなくては。「部下に対して興味と敬意を持つ」のが上司の重要な資質の一つであるのはこのためだ。

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© 朽木鴻次郎
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*1:先日メールがきて「コウケンテツの件」とあったのでびっくりしたら、「コンテンツの件」でした。

*2:そーいえば、昔大学の同期の女性(既婚)が、「『冷凍しておいたご飯をチンしておいて』って頼んだだけなのに、取説持ち出して悩んでたのよ、あの人...」とぼやいていたことがある。

*3:コウケンテツな石田三成だったのでしょうね。