今回は「指示」についてのつもりでしたが、その前に「チームの体力」の話をします。
「リーダーシップ」関係の話ではあります。
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リーダーシップのイメージ。
「ここが向かうべき場所だよ」と行動の方向を示して、実際にそこに向かわせるという影響力や強制力を発揮することがリーダーシップである、と。ところが、チームに体力がないと行動できないのだ。やるべきことはわかっていても、やりたい気持ちはそこに向いていても「できない」ことがあるのですね。
チームの「やれること 」が「組織としてやるべきこと」に重ならない。
なぜか? 体力がないから。
「チームの体力」のイメージ。↓↓↓↓↓↓
チームのメンバー各々の能力を言っているわけではない。もちろん個々のメンバーの能力は大事なんだけど、大きい戦車と豆タンクとの差とは違ってですね、人の能力なんてデコボコあっても大した差はないのです。
チームの体力は、下図のような三角形をいかに大きくするか、にある*1。
三角形の三要素は:
「義理と人情、やる気と掟(おきて)」
これを今風の横文字にしてみるとね、こうなる。
・義理と人情:エンゲージメント*2
・やる気:モチベーション
・掟(おきて):インテグリティ*3(法令遵守、秩序の維持)
「義理と人情、やる気と掟」の方がココロにグッと訴えてくるんだけど、英語(カタカナ)の方がかっこいいな。
・エンゲージメント【義理と人情】
婚約指輪、エンゲージリング、なんて言うように、エンゲージメントとは絆(きずな)のこと。つまり会社を、職場を、仲間を好きになることです。好きになるために大事なのは信頼関係、仲間意識である。
・モチベーション【やる気】
やる気が出るためには、組織と価値観が共有されること。イケイケ・ポジティブな人は体育会系、ジャンジャンバリバリな社風がいいだろうし、しずかに思考することが好きなら図書館勤務、研究室などで価値観が共有できる。ゲームにあまり関心のない程度の人ならともかく*4、ゲームなんて幼稚でくだらないって心のそこから思って嫌う人は、任天堂で働くにはあんまり向いてないような気がする*5。
モチベーション(やる気)にもう一つ大事なことは、公正に評価されて、きちんと報酬、お金、がもらえること、ちゃんと処遇されること。ちゃんと評価(金銭面でも処遇面でも)されていないと、やる気は萎えてしまいます。
・最後に、インテグリティ【掟(おきて)】
これは一定の規律で組織を管理したり、インテグリティ、完全性、法令遵守、秩序の維持、つまり集団の統一性を保つもの。企業文化や組織文化によって、厳しさの程度は変わってくる。軍隊や警察、消防などでは厳しい組織マネジメントが要求されるだろうし*6、昨今*7流行りのフラットな組織、出来立てのベンチャーでまだ人数も少ない組織では、自由度は高い(のではないかな)*8。
この「義理と人情、やる気と掟(おきて)」がメンバーに強く浸透しているチームは強く体力がある。
体力がなければ、「やれること 」が「組織としてやるべきこと」に重ならない。「組織としてやるべきこと」がわかっていても、できないのだ。だからチームの「義理と人情、やる気と掟(おきて)」の三角形を大きく、大きくして、チームの体力を増強しなければならない。
© 朽木鴻次郎
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*1:説明するとき、三角とかマルとか描いてみると、とってもアタマが良さそうに見える。
*2:「義理と人情と浪花節、GNNだ!」という人もいたけど、「浪花節」聞いたことある?ぼくはないです。いや、あるかも、玉川良一ので。
*3:ドラッカーはマネジメントの要諦としてインテグリティを挙げていて、日本語訳では「真摯さ」とある。
*4:そういう人は一定数いらっしゃいました。
*5:もちろん、いろんな人が働いていていいんですけどね。とはいえ、例えば「ボボーボ・ボーボボの件」って稟議(実話)を起案して回したら「なんだこれは!」ってなるでしょうね、ふつーの会社では。
*6:新撰組の局中諸法度とかね。士道不覚悟は全て切腹!
*7:ホントは昔からあるんですよ、階層のない組織への憧れって。ソビエト・ロシアの初期の赤軍とか、毛沢東の八路軍とか、階級がなかったのね、はじめは。
*8:言い換えると「掟はぬるい」。