任天堂の岩田社長がよくおっしゃっていたのは、「戦略と戦術は違うんです」と言う言葉。
軍事用語では違うと言うこともわかるけど、現代では「戦略」や「戦略的」って単に「重要である」「根幹となるものである」を言い換えた場合に過ぎないし、ビジネスでは「戦略」は使っても「戦術」は使わないよな...と思っていた。そもそもターミノロージー(特定分野での「術語」の使い方・terminology)にはあまり意味がない。
同じように、よく似た誤報、もとい、語法で「目的と目標」がある。目的は、英語で言えば「purpose ・ aim」で、目標は「target」... だったかな。
日本語だと「目的も目標」もよく似ているのでどっち? どっちどっち? となってしまう。
・目的:究極の目的
・目標:当面の目標
こう表現するといくらかわかりやすいかも。でもね、言葉なんてどうでもいい*1。
目的と目標を正しく理解しろ、とか言う人がいるけど、そんなことよりも、もっと気をつけなければいけないのが「手段」である。
手段は、目標のために採用されたものなのだ。
イメージはこんな感じかな。
例えば、法務業務の効率化、それを究極の目標としたとしよう。みんな忙しいからね。残業も減らしたいよ。
そこで、1.特定契約業務は行わない(対象業務を減らす)、2.外部弁護士事務所への丸投げ案件をふやす(これも対象業務を減らす、だな)、3.契約書のファイル(目録作り)を自動化する(業務効率化)のいくつかの方法がある中で、
「3.契約書のファイル(目録作り)を自動化」を当面の目標としよう、と決めた。6ヶ月以内に契約書のファイル(目録作り)を自動化する。今までは手入力のエクセルファイルだったから。うまいことデータベースも作りたいしさ。
そこで、採用された手段が「契約書データベースシステム」だ。
ここで気をつけなければいけないのが、採用されたシステムを作り込んでいく過程で、システムの作り込み自体が目標・目的になってしまうと言うこと。
手段が、目標、ひいては目的になってしまう。
本当によくあることなので、気をつけなければいけないの。目標と目的がこんがらかるよりも、もっと深刻な結果をうむんですよ、手段が目的化、目標化してしまうとね。
手段が究極の目的にすり替わり、今、立ち向かうべき上位の目標が全くお座なりにされてしまう。目的のためには手段を選ばない、ではなくて:
手段のためなら、目的や目標を選ばない、
そうなってしまう。
同じテーマで以前も書いていましたね。大事なことなので、また角度を変えて書いてみました。
© 朽木鴻次郎
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*1:本当はどうでも良くはないのですよ。こんなわかりにくい言葉を自分たちが自分たちのためにつけた都合の良い定義を振りかざしてくる知ったかぶりの人もいるから。