「DVDボックス-松竹戦争映画の軌跡」15,000円也。
おめあては、「西住戦車長伝」です。少女&戦車の西住みほのおじいさんを描いたもの(嘘)
さて、作品紹介、行ってみよ〜!
・進軍(サイレント)
日本のサイレント映画を観るのはこれが初めてです。
つまんないんだろうな、田中絹代の20歳の頃をみてつまらなかったら途中でやめちゃってもいいや... って観はじめたんですが...!
面白い!
恋心あり、葛藤あり、友情ありので戦場シーンへと物語は進んで行きます。スリルとサスペンス、アクションシーンもかなり派手に作られていて、ハラハラドキドキですよ。
すごい、やればできるじゃん日本の戦前戦争映画! って思いました。
原作「ジェームズ・ボイド」?
なんとユナイテッド・ステーツの映画の脚本が原案だったのですって! 南北戦争を舞台にした彼の国のストーリーを日本に持ってきたんだそうです。
でもいいです。誇りに思う。これだけの活劇ドラマを作ってたんだから。
田中絹代(1909.11.29生)、花香る20歳のころ、昭和5年の映画です。
翌年が満洲事変。
・少年航空兵
ところが一転して、この「少年航空兵」になるとドラマとして全然ダメ。ある田舎の少年が航空兵になっていくドキュメンタリーですな。
ちゃんと対立軸(同郷のコミカルな少年が東京の民間航空会社に就職)は作られていたり、村の娘のほのかな恋心、都会の先輩パイロットとその美しい恋人など、設定はちゃんとあってストーリーは作れるはずなのにね。当時はこれを面白い!と観たんだろうかな。
教官中尉の笠智衆が若いですよ。 昭和11年。盧溝橋事件・日中戦争の始まる一年前の映画です。
・西住戦車長伝
これこれ、これが観たかったのよ。
主役は八九式中戦車。うそ、上原謙です。ご存知加山雄三さんのお父さん。ぼくら昭和世代は、旧国鉄の「フルムーン」キャンペーンが印象深い*1。
八九式中戦車がすごいです、いっぱい出ます。ガンガン進みます。こんなのが100台あったら世界征服できちゃうかも?って思えますよ。
21世紀の現代でもそうなんですが、戦車ってハイテク、しかも壊れちゃいけないという大変な技術を必要とする兵器なので、自国で開発できるってすごいことなんですよ。この八九式中戦車は国産初の戦車です。
昭和15年。日米開戦の前年です。上原謙は満30歳。ものすごいイケメン。しかも軍服着てるでしょ。かっこいいの。ブルっときますよ、女の人は。おしっこちびっちゃいます、このハンサムさ。
ところがですね、なんのドラマもない。本当にもー、ダメですよ、こんな映画作っちゃ。多分、二、三カットを切ったりセリフを少々変更したら、これ、反戦・厭戦キャンペーン映画になりますな。
この映画観て「よし、ぼくも戦うぞ!」って思う青年少年はいるんでしょうか?むしろやだな、戦車に乗っててもあっけなく死んじゃうんだな(真実)って思うんじゃないでしょうか。
映画の脚本に軍部から横槍が入ったんじゃいかと邪推しちゃいます。「いやいや、本物の戦争というのはそんなドラマのようなものではないのだ!」とかね。西住大尉は実在の軍人で戦死後に「軍神」とまでされた人物です。それを映画化したたものですからね、脚色は許されなかったのかも? 戦車好きなぼくが観ても、実に退屈な映画でありました。*2
出てくる国民党軍の軍装備はドイツのものです。ドイツは日本と同盟を結びながらも蒋介石に軍事支援していたんですね。日本も何を考えてドイツと手を組んだんでしょうね。いかんです、いかんですよ。
(「陸軍」「空ゆかば」また別の記事にします。)
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