〜 ハリセンボンのおびれ 〜

生活と愉しみ そして回想・朽木鴻次郎

「ノモンハン 責任なき戦い」NHK 2018.8.15

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録画しておいた、NHKのドキュメンタリーを観た。 

初回放送

2018年8月15日(水)

午後7時30分〜8時43分

番組案内(HPより)

79年前、モンゴル東部の大草原で、日ソ両軍が激戦を繰り広げたノモンハン事件。ソ連軍が大量投入した近代兵器を前に、日本は2万人に及ぶ死傷者を出した。作家・司馬遼太郎が「日本人であることが嫌になった」と作品化を断念した、この戦争。情報を軽視した楽観的な見通しや、物量より優先される精神主義など、太平洋戦争でも繰り返される“失敗の本質”が凝縮されていた。しかし軍は、現場の将校には自決を強要した一方で、作戦を主導した関東軍のエリート参謀たちはその後復帰させ、同じ失敗を重ねていった。
今回NHKは、ロシアで2時間に及ぶソ連軍の記録映像を発掘。4Kで精細にスキャンした映像を「AIによる自動カラー化技術」で鮮やかに着色し、戦場の実態を現代によみがえらせる。さらに軍の判断の経緯が証言された、150時間を超える陸軍幹部の肉声テープも入手。敗北はどのようにして隠され、失敗は繰り返されたのか。映像と証言から迫る。

 

 

せっかく専門家の調査団を現地に派遣したり、ドローンによる航空撮影で今も残る延々とした日ソ両軍の塹壕あとを撮影したり、プロパガンダとはいえソビエト側からの映像をデジタル彩色したりとがんばったにも関わらず...

 

「新式武器を装備する敵の強大さも知らず、日本軍は旧式の武器しか持たずに無謀無責任に戦争に突入して負け、それを隠蔽する」

 

そんなはじめからの命題から外れないような番組作り。バラエティ番組のようなイラストとBGMで描く悪の権化のような辻参謀と関東軍。もっと独自目線で切り込んでくれよ、というのが正直な感想です。せっかく調査団まで派遣してんだからさ〜。日本の勝ちだと言いたいわけではないですよ、念のため、ですが。

 

もうちょっとNHKの視点で切り込んでノモンハン事件の解釈と評価を示して欲しかったな、8.15の特別番組なんだから。「新たな事実を発見してもそれを無視して旧弊の思考方式にとらわれている」、この番組が批判していることそのものの内容だったのではないかな。

実は取材班からのいろんな独自視点もあったのだが、NHKの内部でそれが通らず、実際に報道された番組は陳腐でなんの教訓にもならない内容に堕してしまったのではないかとも勘ぐられるような放送で、とっても残念です。

重ねていうけど、本当は日本の勝ちだったとか、ソビエト・モンゴルの被害も大きかったとか言いたいわけではないですよ。そうではなくて、戦闘に参加した日本軍の士官・兵には敬意を払っていただきたいし、どちらの軍隊の方だったにせよ現地に残る遺骨にはきちんと礼を尽くしていただきたいと思いました。

 

追記:関連記事をまとめました。

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