〜 ハリセンボンのおびれ 〜

生活と愉しみ そして回想・朽木鴻次郎

SDGs ESGの時代 サプライチェーンにおけるCSRの推進(動画つき)

任天堂でのCSR調達 サプライチェーンへの展開 そこから学んだこと」についてです。

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M&Aのリーガル・デューデリジェンスとは違って、CSR/コンプライアンス監査では、全貌を徹底的に洗い出すことは不可能である。サンプル調査であるから当然のこと。だってせいぜい数人のチームで、一日、長くて二日の現場監査だもの。デューデリは到底無理ですよ。現実にできる範囲で、できるだけカバーするようにする。「デューデリ」という言葉もずいぶん幅が広がったなあ、というのが正直な感想です*1

 

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ぼくが任天堂に勤めていた2009年のことだと思う。最初に海外のとある工場のCSR/コンプライアンス監査に出かけたとき、担当者は分厚いチェックリストを手元に監査をすすめていた。ところが、夕方になってもいっこうに終わりそうにない。

いつまでやるの?

その分厚いチェックリストを見ようみまねで作った担当者本人がどこまで、どんな精度でやって良いのかわからないのだ。30台半ばの人だったかな。

法令遵守・人権尊重が一つのテーマであったコCSRンプライアンスの観点からの工場監査なんだもの。時間外勤務、休日/有給休暇取得、給与、社会保険、労働安全対策、生活環境(社員寮や社宅)、社員食堂と食事内容、そんな重点項目のサンプル調査を行えば良いんだよ。

17時までの時間内に終えなさい。CSR/コンプライアンス監査で残業を強いるのはありえませんから。

誰かがそう言ってあげなければならなかったんだろうし、それは上司であるぼくの役割だったと思う。訪問先で対応してくださる方々に、監査のために残業などさせるべきではない。時間外労働や社員の負担を出来るだけ減らしなさいって指導してるんだもの。

サプライチェーンへ人権意識を含めたCSR/コンプライアンスを浸透させるのは、発注元の責務である。2009年の当時はそんな言葉はなかったが、もし、SDGsやESGへの意識が十分でないなら、その点についての対話も行うべきだろう。発注元が行うCSR監査がきっかけになって、議論を深めていただきたいとの思いもある。

そう考えてみると、CSR/コンプライアンス監査は、「悪いところを見つけて、減点してやろう」という考え方に基づいていてはいけない。
改善点を見つけて、考え、より良い職場にしていくこと。
これが目的となるべきである。

その意味で、当時の任天堂製造本部長だったNさん*2の言葉は正しい。


監査、やて? おこがましいわ。『確認させていただきます!』やろ!

以来、ぼくたちは「CSR監査」とは言わず「CSR確認」と言葉を改め、対話を重視する方針が固まった。工場現場や運営を確認して、対話の中から目線や意識を合わせていく手法である。これは間違ってはいなかったし、さすがNさんだなあ、と今でも思っています。

 

動画:「任天堂でのCSR調達 サプライチェーンへの展開 そこから学んだこと」
是非ともご覧ください。

www.youtube.com

動画では国名地名を全然間違えていました。工場崩落事故は2013年バングラデシュの首都ダッカでのことです。(パキスタンとはインドを挟んで反対側やん!恥!)

   

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© 朽木鴻次郎
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