〜 ハリセンボンのおびれ 〜

生活と愉しみ そして回想・朽木鴻次郎

大刀洗平和記念館・一面の蛙たち(2015年夏)

【この記事は2015年8月の訪問記で、既に消去した別のブログに掲載したものです。情報や展示物は2015年夏当時のものです。】

 

f:id:tavigayninh:20180320080349j:plain

大刀洗駅から駅前をのぞむ
鹿児島県の知覧特攻平和会館に引き続き、福岡県朝倉郡筑前町立「大刀洗平和記念館」を訪問してきました。
 
 
当日は台風が接近中で、断続的に強い雨が吹きつけてきます。大刀洗へはJR鹿児島本線「基山」駅で甘木線に乗り換えて、約20分。現在駅は無人駅です。
かつて、大刀洗には陸軍の飛行場が存在していました。大正年間に建設され、昭和20年に米軍の爆撃によって壊滅したのです。大刀洗の飛行場は陸軍飛行学校の本校でした。

f:id:tavigayninh:20180320080331j:plain

2015年8月現在の駅舎

盛時の大刀洗駅は一日の乗降客は約10,000人。駅前を中心にとても栄えていたとのことです。 いまからは想像もできません。大刀洗平和記念館には、世界で唯一、陸軍97(きゅうなな)式戦闘機が展示されています。その機体は、特攻に出撃したものの、エンジン不良で博多湾に不時着水没していた機体を引き上げた実機です。搭乗員の方はその時は救出されたものの、後の沖縄特攻で戦死なさったとのこと。ご冥福をお祈りいたします。
平和記念館は写真撮影が禁止されていました。パンフレットの表紙に97式の写真がありましたのでそちらをご紹介します。
 
f:id:tavigayninh:20180320093706j:plain
 
昭和14年、ノモンハンの空では無敵を誇り、同世代の海軍96式にも勝る性能を持っていた名戦闘機も、終戦の頃はとうに第一線を退き、練習機として働いていました。要するに旧式機です。その旧式機が燃料増槽と爆弾を懸吊して米海軍機動部隊に向かって行ったのです。亡くなったのは、二十歳前後の若者たちでした。

大刀洗にはそんな特攻隊員たちの写真や遺書、手紙などが展示されています。また、大刀洗から熊本県菊池に移駐した陸軍飛行第四戦隊の戦闘機と米軍爆撃機B29との戦闘の様子も展示されています。
B29は、無敵と思われてはいますが、日本軍戦闘機の迎撃と高射砲の攻撃により、一定数は撃墜されているようです。第四戦隊の樫出大尉は、二式複座戦闘機「屠龍」を駆って、実に18機のB29を撃墜したとのこと。B29の一機の搭乗員は10名程度。彼らもまたアメリカの若者だったのでしょう。撃墜されたB29の機体の破片も大刀洗平和記念館には展示されていました。
 
米軍による無差別爆撃はもちろん許されるものではありません。大刀洗では小学生数十人が空襲の犠牲になっています。ただし空襲を命じたのは政府であり米軍指令部です。サイパン陥落後、B29による本土爆撃は本格化しましたが、硫黄島陥落までは、護衛の米軍戦闘機なしに、つまり、爆撃機のみで飛来していたとのことです。米軍も護衛戦闘機なしに爆撃機に出撃させるなんて相当無理をしていたんですね。護衛なしでのB29に対しては、撃墜を含め相当数の損耗が記録されているとのことです。その後、硫黄島が陥落してからは、戦闘機のP−51らが護衛に随伴し、日本軍の戦闘機による米爆撃機の迎撃は一層困難になりました。

戦争では、日本の若者もアメリカの若者も犠牲になっています。戦争は繰り返してはなりません。

戦争は絶対に起こしてはいけないのです。

++++++
 
大刀洗には、もう一機、海軍のゼロ戦の32型が展示されています。世界で唯一存在する32型です。
 
f:id:tavigayninh:20180320080747j:plain

写真撮影が例外として許可されていましたの。このゼロ戦も、97式戦闘機もとてもいい状態で展示されていました。記念館の方々がとても大切に扱っていることと拝察しました。

 

f:id:tavigayninh:20180320080716j:plain

f:id:tavigayninh:20180320080734j:plain

 

南太平洋で発見された機体を引き上げてリストアしたものだとのこと。パイロットの方のご冥福をお祈りいたします。

 

f:id:tavigayninh:20180320080406j:plain

 

記念に、パンフレットをとTシャツ2枚。97式戦闘機の正面シルエット。すごいいいデザインです。プラモデルは、飛行機が得意な長谷川製。陸海軍機コラボ・大刀洗スペシャルだそうです。

 

知覧の特攻平和会館も多くの人たちにぜひ訪問していただきたいですが、ここ、大刀洗平和記念館もぜひ一度ご訪問していただきたいと思いました。とても有意義な訪問でした。よかったです。台風だったけど、行ってよかったです。

館内の関係者の皆さんはとても親切でした。ほんとうにありがとうございました。



f:id:tavigayninh:20180320080304j:plain

お昼少し前に記念館をあとにし、大刀洗駅に向かいました。そのほんの数十分間だけ、空は曇天のままでしたが、雨は止んでいました。ふと見ると、足元で小さい何かが跳ねています。小指の先ほどの茶色いものが無数に。

バッタ? ちがいます、カエルです。

「道路一面」という表現がオーバーでないほど無数の小さいカエルたち跳ねていたのが印象的でした。

 

【この記事は2015年8月の訪問記で、既に消去した別のブログに掲載したものです。情報や展示物は2018年夏当時のものです。】

 

tavigayninh.hatenadiary.jp

 

©️ 朽木鴻次郎
~~~~~~~~~~~~~
 

HPはこちらです。

kuchiki-office.hatenablog.com

~~~~~~~~~~~~~