困った上司の一類型として、「なんでも否定する」人がいる。しかも、後出しジャンケンを使うからヤリキレナイ。
検討してA-案を持っていくと、B-はどうなる、C-は検討したのか? と来る。もちろんB-案やC-案は検討した上でA-案を持ってきたのですが、そこを説明すると;
違う違う、俺が言っているのはD-だ、E-だ、X-だ、Y-だ、全てを網羅して検討したのか、想定外のことまでちゃんと考えたのか!
そんなエンドレスなダメ出しをしてくる。あなたが考えもしなかったような、些細な点や非現実的な仮定をまくしたてます。
それはあなたが「そこまでは検討していません」と答えるまで続きます。
だからダメなんだ。やり直し!
仕事を進める上で、「全て」を検討することなどできない。ある程度の当たりをつけて仮説や方向性を考えて、その中で、二つ三つを検討するのだ。そして徐々に形にしていくもんですがな。
それにさ「想定外のことも検討しろ」って論理的にも無理でしょ。
そもそも、仕事の方向性を考えて指示するのが上司の仕事ですよ。示された方向性の中でのいくつかの選択肢を詳細に詰めるのが部下の仕事だ。
後出しジャンケン上司はそんな方向性を示すことはしないのですね。
「検討の方向性を大まかでも示してください」
そんなことを言おうものなら、もータイヘンなことになりますよ。
組織のためにも人材・時間の無駄遣いなのは言うまでもない。じゃあ、そんな後出しジャンケンと全否定にどう対応したらいいの?ってことになるが、それが難しい。というのも、どんな対人関係の問題も同じなのだが、一義的な模範解答などは存在しないからだ。
人間関係の問題に一義的な模範解答などを求めるのはそもそも間違っている。どんな時でも個別に考えて対応すべきだろう。あなたもぼくとは違うし、その問題のある上司もぼくの経験した無能な上司とは別の人なんですから。
ただし、なぜ否定ばかりするのか、どうして後出しジャンケンなのか、そんな共通項を考えると解答のヒントは得られるかもです。
否定を繰り返し、後出しジャンケンで批判する上司の心裡には上司本人も気がついていないかもしれない暗いねじくれた劣等感にある。
ぼくはそう思っている。
・自分では「問題解決の方向性」がそもそも分からないのだ。意見も考えもない。だから事前に指示ができない。
・仮に「問題解決の方向性」についての考えや意見があったとしても、もしそれが間違っていた場合の責任を取りたくない。「部長がそう言ったんでしょ!」と部下に言われたくない。「xxx部長の指示通り行ってこうなっちゃいました」と言われたくない。
・とはいうものの、部下に対してはマウンティングして、自分が上だ、自分の方が能力がある、それを示したい。威張りたい。
ぼくはあるとき、この問題、つまり「後出しジャンケンで、否定ばかり繰り返す上司」の問題について当時社長だった岩田さんと相談したことがある。岩田さんは、ぼくがとても尊敬する人で、年齢はちょっとだけ上ですが、人格的に大変立派だし、職業人としてとても経験豊富な方でした。
岩田さんはこうおっしゃっていました。
クチキさん、その人はそれしか出来ないんですよ。後出しジャンケンしかできないし、代替案を出すこともできないんですよ。出てきたものを否定することしかできないんです。だから、「否定すること」がものすごく上手になっているんですね。そんな進化を遂げた人間なんです。
あははヽ(´▽`)/
なるほど。そう考えてみることで、どう対応したらいいか、どんな手を打ったらいいのか、答えを得るヒントになるんじゃないかと思いました。
本人は仕事をしているつもりなのだが、その実は「穴を掘れ。それを埋めろ」と喚き続けるだけだ。部下はみんなよく分かってるのよ、「出来ねーな、こいつ」って。
無茶を言うのを繰り返しているうちにそれがとっても上手になっちゃった。
やんなっちゃうよな。
どうしようもないときには、ご自分が壊れちゃう前に会社辞めてもいいんだと思うよ。働くことっていうのは楽しいことばかりではないものの、少なくとも「常に奴隷的な苦役」であるべきではない。*1
仕事は奴隷的苦役ではない。どう生きるか、どう働くかは自分で決める。
自分の心と身体を健全に保つことが一番大切です。
*1:京都FMのDJサトウヒロキさんがおっしゃっていました。「働くことってのは普通はそんな「奴隷的な苦役」ではないはずだし、そうあってはならない」と。