ITmedia ビジネスオンライン 2022.2.4
「給与や待遇で会社を選ぶ人と働きたくない」――ある民間企業の人事担当者のツイートが物議を醸している。このツイートは、この企業が募集中の中途採用案件の待遇条件も相まって、賛否両論の声が上がっている。
投稿したのは、ITコンサルティングなどを手掛けるノースサンド(東京都中央区)の人事担当社員。社員は1月31日、自身の公式Twitterアカウントに「新卒採用担当を採用したいと思い、沢山の方にご応募いただいているのですが、給与や待遇にこだわりのある人とは働きたくないのです。。。私は、会社の顏となる人事だからこそ、待遇/給与で会社を選ぶ方と働きたいとは思わない」(原文ママ)と投稿した。
2022年2月初旬、この記事が炎上?しています。
以前から「人事系」の特に若い人事部員/課員のある種妙な意識の高さに違和感がありました。何か常に人事制度や評価制度に対する「改革」意識がつよいなあという違和感です。
なぜなんだろう?とずっと現役時代から考えているのですが........
勉強しすぎなんじゃないかな、と。人事専門家やコンサルの言う「新しい挑戦」に、言い方は悪いですがかぶれすぎている。
「働く意味とは〇〇である」
「キャリアパスとワークライフバランス」
「キャリアパスとワークライフバランス」
「組織のためには〇〇意識を醸成しなければならない」
「ボトムアップやトップダウン型組織はもう古い。フラットで自走する組織への変革を!」
いっぱいある。
いっぱいある。
「エンゲージメント」「モチベーション」「インテグリティ」「ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン」...... 英語横文字もいっぱいだ。
以前勤めていた会社で、新しい人事評価制度を旗振って導入した担当の若い20代の人事課員が、大ベテランで人望も厚い部長職(部下200人くらい?)に
「そんなマネジメントでは人は動かないし、育たないんですよ!」と会議の席上で説教し始めたのを「君は誰に向かって説教を始めるんだ?制度の解説だけに集中しなさい」と、横からたしなめたことがあった*1。
「そんなマネジメントでは人は動かないし、育たないんですよ!」と会議の席上で説教し始めたのを「君は誰に向かって説教を始めるんだ?制度の解説だけに集中しなさい」と、横からたしなめたことがあった*1。
もちろん人事(や総務、法務も)は大事なんだけど、「会社組織を良く保っているのは自分達だ」なんて思いあがっちゃいけないと思う。
会社はコストセンターが管理して回しているのではない。管理部門は経営者とは近いが「自分達は経営サイドである」と勘違いしてはいけないのだ。
発言内容にある「会社の顔となる人事だからこそ」という考えは思い上がりですね。
会社の顔とはお客さまに提供する製品であり、サービスです。
+++
この問題ツイート発言をした人事の人に限らずですが、武士は食わねど... みたいな変な美意識を持つ人はいる。オフィス環境を快適に整えたり維持するためには事務用品や空調設備、IT機器への投資など、ある程度の費用はかかる。
狭苦しい職場環境の改善とデスク/チェアなどの買い替えを提案したら、
「そんな贅沢はしなくても、ボクたちは頑張ってきたんです!」
と叫んだ管理職を知ってるが、いざ広くて新しいオフィス(最新のデスク周り)に引っ越したらホクホクしていたっけ。
腹が減ったら戦はできないの*2。
ぼくはききたい:
報酬や待遇を重視することは『仕事』に対する冒涜なのか?
と。
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このツイッターを巡って、いろんな意見が交錯してるけど、ぼくは、一番の被害者こそは発言をしている当の本人だと思う。自分の低い報酬には不満はあるが、それはどうにもならないから、
「酸っぱい葡萄を一緒に食うのが、それこそが仲間なんだ」
と自分に思い込ませているんだろう。自分が自分に洗脳されちゃったということかな。
こういう不遇な若者が、ヒューマンリソースの専門家として、ぽろっと外資にヘッドハントされてアジアリージョンマネジャーなんかのポジションを得たりして、びっくりするほどの高給をもらえたとしたら
『仕事に見合う以上の報酬を与えることで、仕事へのモチベーションやエンゲージメントが高まり、組織のインテグリティが磨かれ、社員が自走するティール組織が出来上がる!』
と言い出すのかもしれないなあ*3。
『仕事に見合う以上の報酬を与えることで、仕事へのモチベーションやエンゲージメントが高まり、組織のインテグリティが磨かれ、社員が自走するティール組織が出来上がる!』
と言い出すのかもしれないなあ*3。
© 朽木鴻次郎
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