〜 ハリセンボンのおびれ 〜

生活と愉しみ そして回想・朽木鴻次郎

「逆・タイムマシン経営論」楠木建・杉浦泰

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そもそもの「タイムマシン経営」という言葉を知りませんでした。意識低い系です。

「逆・タイムマシン経営論」楠木建・杉浦泰 日経BP 2020.10.21」 読了しました。

激動の時代、いま、〇〇を知らなければあなたの、あなたの会社の将来はない!

 

そんな言葉に、どれだけ踊らされてきたことか。

 

思い出したのだが、1983年の夏、就職活動をしていたぼくは、感度が高かったものですからね*1、当時いわれていた「技術革新の時代」に文系だったものだから、「おれ、社会人になって大丈夫なんだろうか?」と不安だった。

 

内定が決まった企業の人事課長さんにそんな思いをぶつけたところ、敵さんは当時40代の働き盛り、鼻の先で笑われてた。そんな言葉に踊らされているのかい、君はwww という意味の嗤いであった。

 

とはいえですね、世の中には、そんな脅しと流行り言葉に弱い〇〇業界や〇〇業界(本書より)の人たちも多いようで、34年間サラリーマンやってきたけど、そうだったよな、踊らされてる人たちをたくさんみたよ、うんうん、と頷くところ大でした。

 

ぼくは、もっとーとして「ファーストランナーにはならない。しかし、ファーストランナーグループからは遅れない」を考えて仕事をしてきた。部下や若手が新しいことに飛び付こうとすると、「待った」をかけたものだ。「研究やスタディはしておいてほしい。ただし、実施のゴーをかけるタイミングはまだだ」と。

 

ファーストランナーという言葉以外にも「身の丈サイズの〇〇」もよく使ったものだ。背伸びをして、流行りのものに飛びつくな、という意味です。

 

ネタバレはしない主義なので、詳しくは書きませんが、本書で取り上げられた経営者の方が「究極の後出しジャンケンをするんです」とおっしゃっていて、その通り!と思いました。大物経営者と自分を比べるのはちょっとなんなんですが。

 

ネタバレはしないという前提でもう一つ。楠木教授の御祖母は長命で107歳で亡くなったそうで、生前、生活を変えるような発明品/新製品はなんだったのかをおばあさまに教授は聞いたそうです。その答えはね、もう、大爆笑ですよ。

そりゃー、そうだなああ! と。

 

とても勉強になる一冊でした。

『これが新しいよ、激動の時代、新しくてものすごいこれを知らなきゃ死んでしまうよ!』

そんな意識の高い飛び道具には、常に気をつけていないといかんよな、と。

 

©️ 朽木鴻次郎
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*1:今で言うところの「意識と頭が高い系