前回は、各当事者の立場の違いがあったとしても、少なくともまとめることに前向きな場合の交渉を考えてみた。値段なのどの「条件交渉」はあるにせよ、「買いたい」「売たい」という意思の合致を求める前提である。
売り手は高く売りたいと思っているし、書いては安く買いたいと思っている。思惑の違いはあったとしても、少なくとも、売買は成立させたい、そう思っているタイプの交渉だ。そこで大切なのは売り手も買い手もそれぞれ代替策を持ち自らの合意可能領域を考えて交渉に臨むことが大切そんな話をした。
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今回はちょっと違うタイプの交渉を考える。片方はあることを主張し、相手方はその主張に全く否定的というタイプのものだ。相手はそもそも合意など求めていない場合、例えば抵当住居からの退去であるとか、担保物権の引渡しなどを拒絶している場合。ゼロ回答、NOしか考えていない相手との話し合いは難しい。
直近の例でいえば、新型コロナウイルスの感染患者(や一定期間隔離が必要な感染の恐れのある人々)を受け入れる地元自治体や病院と、感染拡大を恐る地域住民との話し合いなどもこのタイプであろう。
こちらに法的な根拠があれば、裁判などに訴えて強制的に解決する方法もあるけど、できればそこまでしないでうまく決着はつけたいものです。交渉というよりも、説得、折衝という語感に近い。イメージはこんな感じかな。
あなたや相手方の頭の中にある太陽の形をしたシンボル。それが「隠れている動機(内在的論理)」である。
「隠れている動機(内在的論理)」ことも別の記事にして書いた。
相手が頑なであって、「NO!」と拒絶しかあり得ない場合、対峙する相手方ばかり見ていても、うまい解決方法は見つからない。もっと視野を広げないと。
「視野を広げる」ということは、相手についてばかりではない。「とにかく説得してこい!」とあなたを責める上司についても視野を広げて見る必要がある。上司の命令は尊重しなくてはならないのだが、上司だけを見るのではなくて、もう少し視野を広げなくてはならない。
自分がドローンにでもなったつもりで、地上20メートルぐらいまで上昇してみよう。
こんな光景は見えてこないかな。
相手方は一人なのか? 地域住民のような集団なのだろうか?
こちら側には直属の上司がいる。でも、上司にも上司はいる。あなたにも同僚や部下はいるだろう。
場合によっては、社会問題を解決しようとしているのかもしれないですね。
自分はドローンになったつもりのイメージで、上に昇ったり、地面すれすれに降りてきたり、視点を変えて、視野を広げたり、あるいは、クローズアップにしたり...... そんなことでどこからどう攻めたら良いのか、交渉戦略が見えてくることもあるかもしれません。
© 朽木鴻次郎
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