〜 ハリセンボンのおびれ 〜

生活と愉しみ そして回想・朽木鴻次郎

ずるい人

上司として心がけなければならない大切なことの一つは:

・部下の一人ひとりに興味をもち、良い部分に対して敬意を持つこと。

 もう一つ、付け加えるとすれば:

・私心のないこと(自分だけが得をする利益を狡猾に追い求めることをしないこと)。

 

任天堂の岩田さんからの教えである。
自分だけの利益を狡猾に追い求めるとは、要するに「ずるい」ということだ。

 

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自分の利益のためにごまかして立ち回ることを「ずるい」という。ずるい人は「自分はみんなをうまくごまかせている」と思い込んでいるが、人は、他人のずるさには敏感である。うまくごまかせていると思っているのは、当人だけなのだ。

 

ずるい人が行う議論に次のようなものがある。

 

A という本質的な問題があるとする。それには a' という付随的な問題もある。A では自分は正しくない(負ける)とき、a' (自分が正しい-勝てる)を持ち出して、自分の正当性を主張する。

 

雄弁なその人の朗々たる言葉を聞いていると、「なるほど a' についてはもっともだ。だから A でもこの人は正しいんだろう」そう思わされてしまう。

あるいは「問題の本質は逆に a' なんだろう」と思わされてしまう。そうしてずるい人の思つぼにはまるわけだ。

 

便宜上、「A」「a'」と区別したが、現実での違いは幅を持った色の濃淡であり程度の問題で連続している。区別の基準をそのときどきで巧妙なレトリックを使って、ちょっと上に動かしたり、下に動かしたり、左右にエコーをかけたりすると受ける印象が変わってくるのだ。

 

そんな操作はずるい人にはお茶のこサイサイ、お手のもの。いつだって巧妙に行うことができる。

 

なぜか?

 

ずるいからだ。*1

 

© 朽木鴻次郎
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*1:茶番だ、とか、新事実は何もない、とか、一言で否定するのでは足らない。海外メディアを説得するんだ、ちゃんと英語とフランス語とアラブ語ができる人が、彼の一つひとつの主張を細かく細かく、しかも優雅に上品に、ユーモアを交えつつ反論しないといけないと思う。

2時間半の茶番には、2時間半かけて反論しないといけない。