就職したばかりの頃、ぼくたち新入社員全員は、業界団体が主催する数日間のセミナーに参加することになった。大手町のあるホールで朝から晩まで、石油会社や通産省・石油公団*1の幹部の方々の話を聞くのである。その初日、砂町のアパートから大手町のホールに向かった...のだが...
場所がわからない!
今ならスマホの地図でスイスイ〜なんですが、当時はそんなものはないからね、事前に地図を確認したり、地下鉄の出口にある地図を見たりしたりして、住所を頼りにたどり着くの。
どこだろう?
セミナーの開始時間は迫ってくる。
途方にくれたぼくは、会社の人事に電話したんです。新入社員の面倒を見てくれていた人事部の M-さん(女性・二期先輩)に泣きついた。「会場の場所がわかりません〜」って。
...... あなたの口と目は何のためについてるの? あなたの脳みそは何のためにあるの?
自分で探しなさい...!
受話器の向こうの M-さんはほがらかにそう言った。「周りの人にでも聞いて、たどりつきなさい!」そういう意味ですね。彼女のニコニコしている様子が伝わってくるようでした。
第一、 M-さんは、ぼくが一体どこにいるのかだって分からないんだもの。どうやってホールまで行くのかわかりようも無いですね。
詳しいことは忘れたが、資源エネルギー庁でお世話になっていた班長さんがオープニング・スピーチした後にはちゃんと挨拶したのは覚えてるくらいだから、なんとかたどり着けたのだろう。*2
去年の夏、20数年ぶりに M-さんにお目にかかった。彼女は人事畑で転職しキャリアを積み、ちょうど役職定年を迎えられたとのことだった。
ハキハキして、ちょっと物言いがキツイけど笑顔の素敵な女性のまま、 M-さんは全然変わってなかったです。いや、今の方がもっと素敵になっていた。
ありがとうございました。「口や目と耳と頭を使いなさい!」その通りです。これからもそうします。
© 朽木鴻次郎
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