〜 ハリセンボンのおびれ 〜

生活と愉しみ そして回想・朽木鴻次郎

他人の褌(ふんどし)を緊めてかかる人たち

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他人の褌を緊めて、ここ一番のスモウをとる人っているんだな、これが。

 

以前勤めていたある会社でのお話。当時ぼくがいた法務知財部門で、全社・全グループ会社を対象にコンプライアンス研修をすることになった。部門のみんなでコンテンツを議論して、スライドや台本などの資料を作ったんです。まずはパイロット版として社内のある部門を対象に90分ほどのセミナーを行ったところ、大好評でした。

 

話す順番とか資料を改善し、さて本格展開しようとしたときに、コンコンと部屋をノックして入ってきたのが人事担当者。

 

「人事も協力しますから、ぜひ全社・全グループ展開しましょう。将来はE-ラーニングも視野に入れましょう!」

 

いえ、うちで出来ますから、結構です。「成果主義」っていう人事評価システムが導入されていたので、点数が欲しかったんだな、その人は。

 

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また、こんなこともあった。同じく、「他人の褌を緊めてかかる人」です。

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全社・全グループ会社のあるプロジェクトで、ぼくが所属していた法務知財部門も含め、社内啓発セミナーを経営陣にそれぞれの部門が提案し、中身の良いものは全社・全グループに展開するというもの。ぼくたちが提案したセミナーコンテンツが、一番ではなかったけどわりといいテーマだと評価されて、資料や台本に修正/改善を加えた上で、全社・全グループ展開することになった。

コンテンツ、資料や台本ですね、その作成に中心的な役割を果たした部下、O-くん、当然のこと彼はセミナーのスピーカーを担当する予定だったのですが、ある日困った顔をしてぼくのところにやってきた。

 

クチキさん、事務局の A-さんが来て、『講師は事務局長のぼくがやる』って言ってきたんですけど。

 

え? なんで? 資料や台本はあるし、内容は法務知財の専門ってわけでもないから、そりゃ A-さんがやろうと思えば出来なくはないけどさ。

 

A-さんは事務局を務めた部門の部長さんなんですけど、資料を集めて、役員会に提出するだけ、なんの調整もなんの役割も果たしてない人だったので、O-くんとぼくはびっくりした。

 

A-さん、あの人昔から『目立ちたがり』なんですよ。

 

社歴の長い O-くんはそう言って苦笑いをしていた。そーいえば、A-さんって新人研修とかでも『ウケた、ウケない』とかそんなことばかり気にしてる人ではあったけどな。

 

A-さんの申し出は丁寧にお断りしました。セミナー講師みたいなアウトプットは講師の勉強にもなるしね。準備の中心的人物の O-くんにやってもらわなきゃ。目立ちたいから代わってくれって言われてもな。

 

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仕事を囲い込んで、抱え込んで、自分の都合のいいように回していくのはもってのほかだけど、『自分の/自分たちの仕事を守る』、そういうことも、ある場面では必要だと思いますね。

 

他人の褌で相撲をとるのを恥ずかしいとは思わないどころか、むしろ「よっしゃ!」と力を入れて他人のフンドシでここ一番の勝負をかける、そんなタイプの人もそこそこいるのは本当ですよ。

 

ちなみに、ぼくはフンドシはしめたことはないです。

 

© 旅芸人・朽木鴻次郎

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