「あれじゃ避けられないわよ!」
自転車に乗った40代くらいの女性がそう大声で言った。彼女は対向してくる子供用自転車に乗った男の子と衝突して、男の子が路上に転倒したそのときに、大声でそう叫んだのだ。事故現場を取り巻く人たちへのアピールだろう。
「あんな運転されたら、避けられない!」
彼女はよそ見をしていた。「新風館」という京都の街の真ん中にあるモニュメント的な建造物が、建て替えのために取り壊されているその工事現場に気を取られて、前方を全く見ていなかった。
東洞院、姉小路の角を少し南に下がったあたりのこと。
彼女は、自分自身でも、前方不注意、よそ見をしていたことはちゃんとわかっていたと思う。わかっていなければおかしい。それでも...
自分は悪くない。
そう周囲に主張しながら走り去っていった。
© 旅芸人・tavigayninh・朽木鴻次郎
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