〜 ハリセンボンのおびれ 〜

生活と愉しみ そして回想・朽木鴻次郎

0.075ヵ月って、あんた...

 

ジョーダンじゃないよっ...!

って、タケシの「鬼瓦権蔵」のキメ台詞ですけどね。

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1997年に転職したまあまあの大企業さん。97年度・98年度と決算はよかったのです。復配までしてたんじゃないかな。それが、99年のはじめごろからメインバンクが乗り出してきて、きな臭くなったと思ったらあれよあれよのリストラ開始。数千人の社員はオヨヨ、もとい、およそ三分の一になりました。1999年の下半期のことです。

象徴的な出来事は上の写真。その企業の労働組合の広報ビラ。

0.075ヶ月ってことは、7.5%ですよ。それまでは年間でボーナスが6ヶ月程度、半期でだいたい3ヶ月は出していた会社だと記憶しています。300%だったのが7.5%ですよ。ボーナスをあてにしてローン返済計画を立てていた社員を対象に、低金利による「社内特別貸付」制度が同時に発動されました。厳しいのか優しいのかわかんないね。

 

このボーナス大減額事件とほぼ同じタイミングで、ぼくも関係していたあるプロジェクトが社長賞を貰って、メンバーそれぞれが15万円の賞金をいただきました。ボーナスはそれのほぼ10分の一。賞金をもらえるのは嬉しかったけど、この時期に出すのか?とも思ったのを覚えています。

 

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当然ながら組合には「会社とちゃんと交渉しろ! リストラ回避! 早期退職割増金増額!」なんていう要求がたくさん寄せられたのですが、組合がとった方策はというと.......

 

「組合はこれ以上交渉できない。ついては一年分の組合費(月額500円、一年分6,000円也)を各組合員に返納し、組合は解散する」

 

「組合、やーめた!」ってわけです。究極のうっちゃりでした。これにもびっくりしましたよ。

あ〜のね、おっさん、わしゃか〜なわんよ〜...!

 

この会社は歴史の長い、とても優しい・風通しのいい社風を守ってきた会社だったんです。それでも会社は社員を守らない、守れない。組合でさえも守ってはくれないんだなって実感しました。会社の背後にはメインバンクさんがいたんです。(そのメインバンクさんもその後の銀行再編成の大波の中で他行に吸収されています。みんな大変だ。)

ふと気がつくと、ぼくの関連する部署でも次々と転職を決めている人もいます。「えっ? あの人も、この人も......?」

 

 

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ボーナスは賞与ですから、業績に左右されるのは当然のこと。毎年一定額が保証されるものではありません。大幅なリストラ減員を余儀なくされるほどの企業の存亡の危機にボーナスが払えるわけがない。お給料だって、一定割合以上の減給は法律上認められないとはいえ、現状維持(や例年の増額)が保証されているものでもない。雇用だって100%保証されるものではない。辞めて転職していく人も出る。考えてみれば当たり前のこと。下手すりゃその会社ごと吹っ飛んじゃうところだったんですから。

とはいえ当事者としては不安もあるし不満もある。

それを古くからの友人・身内と思ってた男にグチったら「会社が xxxx-億円も不良債権を抱えてるんならあったりまえだよね、コージローくんが首切られても」と明るく笑っていました。

人材バンク、転職支援会社に登録したら、あるところは前日の日曜の日経に掲載されていた募集案件と全く同じものを「あなただけに特別に紹介します」って言ってきた*1

 

東京だらいう街は生き馬の目を抜くようなところだ。おっかねえなだあ.......

40歳を目前にしてぼくはそう思ったものです*2

 

そんな現実の中でどう生き延びて行ったらいいのか。敵は誰なのか。力になってくれる味方は誰か。自分をどう守ったらいいのか。それをいつも考えなきゃいけないんだなって。今だから言えるのかもしれないけど、ホント色々勉強させてもらいました。まだまだ勉強中ですけどね。冗談でも皮肉でもなく感謝しているのが本心です。

あれからもう18年か。その頃生まれた赤ちゃんも高校卒業しちゃってるほどの時間だな。

早いもんですね。

  

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*1:一方で「転職を考えてるよ」と話したらある大企業のトップにいきなり繋いでくれた友人もいた。S-くん、感謝です。

*2:こう書いてみると気がつくのが10年以上遅いよね、あはは!