〜 ハリセンボンのおびれ 〜

生活と愉しみ そして回想・朽木鴻次郎

海で泳いだことのない人は

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以前飲み屋さんでときどき合う人と世間話をしていた。ぼくと同世代、50代半ば・後半の彼は、その日はちょっとばかしメートルが上がったのかはしらないがこう話していた。

 

ぼくは、部下や若手に対しては、うちの会社から転職してもやっていけるような実力をつけろ、といつも言っているんですよ。

 

こっちも酔っ払ってるからテキトーに話を合わせていたんですけど、その人は別に転職もすることなく新卒から50代後半の今までその会社に勤めていらっしゃる。56歳で役職定年は迎えたものの、還暦定年60歳までは働き続けて、その後は65歳までの雇用延長を希望しているんだって。

 

・できるなら別に転職なんてしないで、新卒で入社した会社で30年、40年と勤め上げて定年退職する方がよっぽどいい。

 

ぼくは心からそう思う。

 

今時の言葉で言えば「ブラック」、要するに仕事が異常にきつかったり、会社の人間関係が難しかったり、それがために身体を壊したり、心の病気になったり... そんな話は別ですけどね。

 

いつまでも会社にしがみついている必要はないって言っているんです。

 

そうも言っていた。「しがみつく」って言ったって、しがみつかせてくれるならしがみついていればいいような気がする。会社・組織なんて、その構成員を本気で排除したいのなら、しがみつくことなんて許さずに切りにかかる。怖いよ。

 

 

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ある種のことは、頭で考えても分からないのかもしれないな。海を見たことのない人はその大きさが感覚的に分からないし、泳いだことがなけれはそのしおからさはわからない。これはディスってるんじゃない。井戸の中にずっといることができて、外敵にも襲われないで寿命を全うできるなら、それに越したことはないと思う。

 

こう考えると、誰かが言ってた:

「かごの中の鳥は外に出たいともがき、外の鳥はかごの中にいる鳥をうらやむ*1

ってのはまさにその通りだ。飲み屋の彼は彼で、ぼくのことを「何にもわかってないな」って思ってたのかもしれない。

 

それはそうと、「いつでも転職できるように」って思いながら働くって、なんかヤダな。

 

 

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......そんなんじゃ、いざと言うとき困るんじゃあないの?

 

いざとなったら、そのときはそのとき!

 

  

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*1:外敵からは安全で日々の餌の心配がないからですね。