〜 ハリセンボンのおびれ 〜

生活と愉しみ そして回想・朽木鴻次郎

マネジメントについて学んだこと

仕事の進め方を考えるときに、「『やりたいこと、やれること、やるべきこと』を分けて整理して考えるといい」よくそう言われる。

 

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「must, can, will」とか「 must, can, want」とか「must, can, need」とか色々言い回しのバリエーションがあったりする。とりあえずこんな「三つのマル」をホワイトボードに書いたりすると「頭が良さそうに見える」と言うのも事実ではある。

 

ところで、ぼくは長年のサラリーマン生活をやめて、今は個人で研修講師をしている。法務の経験が長かったので、「コンプライアンス、ハラスメント対策」や「企業法務」「情報漏洩・個人情報保護」などをテーマとした研修の依頼が多かったのですが、最近は「マネジメント研修」の依頼もいただくようになりました。ありがたいことです。感謝です。

 

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「会社という組織で働く」ことの価値はなんでしょうか? それは一人の力では到底できない大きな仕事、難しい仕事を、組織で立ち向かえばやってのけることができるということです。

任天堂の岩田さんは、常々そうおっしゃっていた。

本当にその通りだと当時は思ったし、組織を離れた今はさらに強くそう思う。

 

ところで上の図の「やりたいこと・やれること・やるべきこと」なんだけれども、今、一人で仕事をしているぼくの場合はそんなに難しくはないのだが、会社で、つまり人の集団で仕事をする場合は、ちょっと複層的になってくる。特に「やるべきこと」の認識だ。

 

会社の中のあるチームを束ねる「マネジャー」は自らがマネジメントするチームのメンバーそれぞれの「やりたいこと・やれること・やるべきこと」をしっかりと理解掌握して、特に、チームとしての「やるべきこと」をメンバーの共通認識としておかなければならない。

 

さらにだ:

 

マネジャーは『会社としてやるべきこと』を意識することが大事です。

岩田さんはそう続けていた。

 

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マネジャーは、社長を含めた経営層や、上司、そして会社や会社を取り巻く状況に常に気を配り、会社組織としての「やるべきこと」を見据えて、どうしたらチームと会社の全体最適が生まれるのか、それを考えることにある。もしかしたら、「やりたいこと」でも「(今は)やれること、できること」でもないけれど、組織、会社のためにチームが「やるべきこと」であるならば「やる!」と決めてメンバーにその覚悟を持たせ、実行すること。それがマネジメントであって、マネジャーの仕事の本質である、と*1

 

そのためにマネジャーは何を考えどう行動するのかという話につながっていくんですけど、長くなりましたので、別記事にします。「リーダーシップを発揮して、挑戦を続けるんですよ」なんて陳腐な話ではないのでご安心ください。

 

© 朽木鴻次郎
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*1:任天堂の部門長を集めての「車座」と呼ばれる会議で、岩田さんがそうおっしゃっていたのは、もう、10年近く前になる。

朝はベーコンエッグのが好きだな。

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某会社の社長(男性)で、政府主催のある会議の議員も兼ねている人のセクハラが話題になっています。報道記事を見て、部下の女性へのお誘いのラインの文面から察するに、自分は「モテている」「好意を持たれている」と勘違いしている-いたのでは?とも感じた。

会社である程度の地位が上がると部下の女性も男性も良くも悪くも媚びてくる(それは当然)、その「媚び」「忖度」「お世辞」「アイソ笑い」を本当の好意とわからなくなってしまう。自分に人間的な魅力があるのだと勘違いしてしまう。

サラメシという番組で、社長の昼ごはんをやっていた。
「とり唐揚げ定食が好きで毎日食べるんだ!」というシニア社長の言葉に、周りの男性女性の若手部下たちがニッコニコして、目をキラキラさせて聴いていたよ。

勘違いしてはいけないんだなあって、つくづく思いました。

60代の自分が「とりの唐揚げが好き」で「毎日食べている」ことが、そんなに面白いわけがない。

教訓:偉くなったら昼飯は一人で食うべし(違うか。

 

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交渉や折衝で「視野を広げる」ということ。

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前回は、各当事者の立場の違いがあったとしても、少なくともまとめることに前向きな場合の交渉を考えてみた。値段なのどの「条件交渉」はあるにせよ、「買いたい」「売たい」という意思の合致を求める前提である。

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売り手は高く売りたいと思っているし、書いては安く買いたいと思っている。思惑の違いはあったとしても、少なくとも、売買は成立させたい、そう思っているタイプの交渉だ。そこで大切なのは売り手も買い手もそれぞれ代替策を持ち自らの合意可能領域を考えて交渉に臨むことが大切そんな話をした。

 

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今回はちょっと違うタイプの交渉を考える。片方はあることを主張し、相手方はその主張に全く否定的というタイプのものだ。相手はそもそも合意など求めていない場合、例えば抵当住居からの退去であるとか、担保物権の引渡しなどを拒絶している場合。ゼロ回答、NOしか考えていない相手との話し合いは難しい。

直近の例でいえば、新型コロナウイルスの感染患者(や一定期間隔離が必要な感染の恐れのある人々)を受け入れる地元自治体や病院と、感染拡大を恐る地域住民との話し合いなどもこのタイプであろう。

 

こちらに法的な根拠があれば、裁判などに訴えて強制的に解決する方法もあるけど、できればそこまでしないでうまく決着はつけたいものです。交渉というよりも、説得、折衝という語感に近い。イメージはこんな感じかな。

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あなたや相手方の頭の中にある太陽の形をしたシンボル。それが「隠れている動機(内在的論理)」である。

「隠れている動機(内在的論理)」ことも別の記事にして書いた。

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相手が頑なであって、「NO!」と拒絶しかあり得ない場合、対峙する相手方ばかり見ていても、うまい解決方法は見つからない。もっと視野を広げないと。

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「視野を広げる」ということは、相手についてばかりではない。「とにかく説得してこい!」とあなたを責める上司についても視野を広げて見る必要がある。上司の命令は尊重しなくてはならないのだが、上司だけを見るのではなくて、もう少し視野を広げなくてはならない。

自分がドローンにでもなったつもりで、地上20メートルぐらいまで上昇してみよう。

 

こんな光景は見えてこないかな。

 

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相手方は一人なのか? 地域住民のような集団なのだろうか?

こちら側には直属の上司がいる。でも、上司にも上司はいる。あなたにも同僚や部下はいるだろう。

場合によっては、社会問題を解決しようとしているのかもしれないですね。

 

自分はドローンになったつもりのイメージで、上に昇ったり、地面すれすれに降りてきたり、視点を変えて、視野を広げたり、あるいは、クローズアップにしたり...... そんなことでどこからどう攻めたら良いのか、交渉戦略が見えてくることもあるかもしれません。

 

 

© 朽木鴻次郎
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