浅田次郎、「蒼天の昴」から引き継いで、こちらを読了。kindle版です。
天切り松の闇語り・全5巻
大正から昭和初期の東京を舞台とした、掏摸、夜盗、ペテン師たちの物語。連作の短編です。どの話でも泣けるのよ。浅田次郎の術にはまりました。盗賊の目細の安一家のどのキャラもすごくいいんだけど、ぼくはペテン師の常次郎が好きだな。
ここではこれ以上のネタバレは一切しません。ご安心を。
面白いので是非読んでください。
日本橋の室町から、父方の祖母が住んでいた小岩に行くためにはいくつか方法はあるのだが、親からは、「都電の22番に乗って浅草橋から国電で行け」と言われていた。
都電の22番はとても便利で、たまに銀座に連れてってもらうときに乗せてもらったのはもちろん、南千住のヒロシの家に遊びに行くときもよく乗った。多分新橋あたりが始発で、銀座、京橋、通三丁目、日本橋と進んで、室町から本町、小伝馬町、馬喰町、浅草橋で浅草に向かう。とおくに雷門がみえたよ。そっから先の駅はあんまり覚えていないんだけど、花川戸、泪橋をすぎると当時でもニコヨンって呼ばれたひとたちが増えてきて、子供心にも、この辺は銀座京橋はもちろん、神田日本橋とは土地柄が違うんだなって思った。差し支えがありましたらごめんなさい。50年近く前のことだ、東京の街々には、いまよりももっとわかりやすいそれぞれの「顔」があったということです。
天切り松の中の一編「宵待草」を読んでいてピン!と思い出したことがある。
都電22番に乗っているとき、乗り合わせたよその大人の人が:
「この都電は『マノ22番』といってな...」
そう話していのをときどき耳にしました。
その『マノ22番』が謎だったのよ。
謎の22番ですヽ(´▽`)/
「宵待草」にその答えがありました。
都電の22番は新橋から銀座、日本橋、浅草と東京の繁華街を貫いて走っていた。当然、お上りさんも多く、そして電車は混んでいる。てか昭和40年代ではすでに過去形、混んでいたのです。お上りさんで混んでいると、スリが出る。財布や時計がすられてしまう。
危ないよ。スリという「魔物」がいるよ。
だから『魔の22番』だったんだ。
なるほど、50年近くたっての問題解決です。
あー、スーッとした!
写真は祇園祭の宵山です。これに限らず京都は四季折々、ものすごい人出です。バスも地下鉄も混みます。有名観光地もすごく混んでいます。11月末の今は紅葉、これから年末年始、スリ・置き引きなどにご注意ください。本当の泥棒は小説とは違います。
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とはいえ、「天切り松の闇語り」、どの話もホロリともボロボロとも泣けます。一日一話、寝る前に読みたい。そんな小説でしたヽ(´▽`)/
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