京都・鴨川にかかる「荒神橋(こうじんばし)」かなでは、「くわう志んむし」って書いてあるように見える。
読めねえった?!
東京都中央区の室町と通一丁目を隔てる「日本橋」このこま犬の下の親柱に「にほんむし」って書いてあるように読める。「日本ばし」がなぜに「にほんむし」?
なぜ「橋(はし)」が「むし」みたいに書かれているのか? はい、日本橋出身者はみんな知っているのです。実は「む」とは書いてないのですね。「む」の点がない字が書いてある。なにそれ?
それは変体仮名(へんたいかな)です。今僕らが使っている仮名は正体仮名。変体仮名は明治期に採用されなかったイタイ、もとい、異体の仮名のことです
「は・ha」は「波」を元とした仮名ですが、変体仮名には「者」を使って「ha」の音に当てはめたものがあります。それが「む」の点のない字なんです。じゃあなんで「者」という字が「ha」の音の仮名になったかというと、漢文の読み下し文がおおもとです。
戦者必然之勢也
戦いなる者は必然の勢いなり。
戦いは必然の勢いなり。
漢文の読み下し文で「者」を日本語の助詞の「は・ハ」に当てることがありました。変体仮名は明治期から大正・昭和(戦前)にかけてだんだん廃れていったので、今ではほとんどわからないですね。
© 旅芸人・tavigayninh・朽木鴻次郎
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