ベトナムでバイクのことは「ホンダ」という。
「オレのホンダはスズキだぜ」
お前は一体日本人の名前をどう思ってんだ! というようなこともまあフツーに言われたりする。
ホンダって、ホンダのスーパーカブのことなんですけど、あんまり普及したんで、商品の固有名詞がベトナムでは一般名詞になってしまったいい例です。
セロテープもそうだし、セメダインやホッチキスもそうかな。
商品名の一般名詞化ってどうしても起こってくる。登録商標とかにも関係してきて、訴訟になったりすることもある。正露丸なんかそうらしいですね。ラッパのマーク以外にも正露丸は色々あるらしい。
東南アジア・南洋にいたころ、現地の友人たちは、とにかく正露丸に対して、信仰というか、絶大な信頼を置いていた。
正露丸こと「喇叭牌(らーぱー・ぱい)」とタイガーバームこと「虎標萬金油(ふーぴゅう・まんかむやお)さえあれば、薬はいらないっていうおじさんもいたよ。
あとね、アスピリン。頭痛薬です。その華人のおじさんは、「アスピリンは値段は高いが何にでも効くんだ!」って力説してましたね。
アスピリンは、ドイツのバイエル社が19世紀末に製造発売を始めた薬です。バイエルはドイツ化学工業・医薬品の巨人だ。
ピアノ教本の「バイエル」も同じバイエルで有名ですが、それと、このアスピリンのバイエル社は違います。サッカーのブンデスリーガの「バイヤー(バイエル)・レバクーゼン」のオーナーでもあるんです。チームカラーの赤いユニフォームが有名。レバクーゼン市には大きなスタジアムがありますよ。
バイエルは、ドイツが第一次大戦でアメリカの敵国になったもんだから、敗戦後、「アスピリン」という商標は1990年代半ばまで、70年以上も一大市場のアメリカで所持・使用できなかったんです。それを取り返すまでもんのすごい苦労があったみたいですよ。アスピリン生誕100年の1999年までに取り戻すっていう悲願だったみたいです。
そんなこんなで「アスピリン」は商品名ではなくなって、頭痛薬?の普通名詞になっちゃった。ホチキス(社名)とかセロテープ(商品名)、みたいにね。
(このホテル、朝ごはんとお昼は盛況なんですけど、晩御飯はありません。従業員の方は帰ってしまうのですね。ドイツの方は日本人、てか東洋人のように「食」に対してホーーーントこだわりなく、つまらん)
レバクーゼンはケルンから車で20分くらいかな、静かなバイエル企業城下町です。いいところですよ。(何もないけど。)
バイエルは、かつて、撮影フィルムメーカーのアグファの親会社でもありました。化学つながりで、バイエルとアグファは資本関係を持ったんでしょうね。
kuchiki-kohjiro.hatenablog.com
バイエルの「アスピリン」って普通名詞になっちゃって、頭痛薬のことをもうアスピリン、アスピリンの成分の「アセチルサリチル酸」のことをアスピリンって呼ぶようになってるんだそうです。アメリカの小説や映画で主人公がよく「アスピリンをくれ」とか言ってたりする。アメリカ人ってすぐアタマ痛くなるのかな。胃に悪いらしいよ、飲み過ぎは。
(この二世代前の旧本社にある木造のエレベーターがすごい。ガッコンガッコン上がって行って、最上階で上下がひっくり返るのです!)
1899年に発売されたアスピリンが未だにこの極東でもドラッグストアで売られている。そして、未だにさらにいろいろな効能も検証されつつあるみたいですね。*1
いつも楽しく拝見している「lemontarouさんのブログ "Say whatever comes to my mind"」でそんなことを知って、嬉しく、びっくりしました。
追記:lemontarouさんはブログをおやめになったみたいです。↓↓↓
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*1:ぼくのこの記事は昔の思い出や随想を語ったもので医療目的ではないです。何らかの症状の判断やお薬の使用は処方箋や専門家の指示に従って正しく行ってくださいね。よろしくご了解をお願いいたします。