君を傷つけるためだけに君に近づいてくる人がいる。
そいつは意地悪をすることもあれば、親切にしてくることもある。
冷たく振舞うこともあれば、優しい言葉をかけてくれることもある。子供っぽい「お菓子外し」*1をすることもあるかと思えば、ニコニコお小遣いやプレゼントをくれることもあるんだ。
頼めばお金も貸してくれるかもしれない。
だけどね、全てが君を傷つけるためなんだ。そいつは君が傷ついて痛みに苦しむ姿を見たいんだ。悔しくて嫉妬に歪む君の表情を想像して身体が震えるほどの快感を得ている。
なぜ? 理由なんてない。ただただ君を傷つけたい。
それだけのためなんだ。悪意というものはただそこに存在する。道路には十字路が存在するように。
でも大丈夫、もう君は分かってしまったんだから。
そいつが君を傷つけたいためだけに近づいてくることを君は知っているんだから。そいつの名前を知ってるんだ。名前を知ってしまえば、もう怖くはないんだよ。
そう、「毒を吐く人」というのがそいつの名前だ。
甘い毒もあれば苦い毒もある。どっちもひどくまずい。そんなものには価値がない。
君は知ってるんだ。分かっているんだ。分かってしまった。だからもう怖くないよ。君にとってはそいつはいないのと同じ。
違う、正確に言うと、そいつはもとからいないんだ。ほら、そいつの足が見えない。手が腕がぼやけてきた。向こう側が透けて見える。
あと5秒で消えて無くなってしまうんだよ。いち、にい、さん......
さようなら、毒を吐くお人。お前の居場所はぼくの大切な人の隣ではないのさ。分かったろう?
ぼくたちはもうお前の名前を知ってるんだよ。
ほら、もう消えてしまった。笑ってやろうぜ。
あっはっは、あはははははははは!
© 旅芸人・tavigayninh・朽木鴻次郎
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*1:ターゲッドだけにお土産や差し入れのお菓子を配らないという幼稚ないじめ