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生活と愉しみ そして回想・朽木鴻次郎

浅田次郎「蒼穹の昴」シリーズ・面白い!

中国を舞台とした歴史物の小説ばっかり読んでるのですか? はい、そうです?

 

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浅田次郎歴史小説蒼穹の昴」シリーズ、順番に読み進めてきました。中国の清朝末期を舞台とした大長編大河小説です。

スッゲー面白い。

 

   ● 第1部:蒼穹の昴清朝末期、西太后、戊戌の変法

   ● 第2部:珍妃の井戸義和団事件

   ● 第3部:中原の虹辛亥革命張作霖

   ● 第4部:マンチュリアン・レポート:おそれおおくも!

   ● 第5部:天子蒙塵:今2巻まで・満州事変から満州国建国...

   ● 番外: 浅田次郎とめぐる中国の旅(これ、参考になりますよ!)

 

 

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さすが浅田次郎、おっもしろいです。

歴史「小説」はこうでなきゃ。史実とフィクション、実在・虚構の人物たち、小説だから許され楽しめる新解釈。

 

清朝末期から満州国建国、そして...に至る壮大なストーリーですわ。

西太后がすっごいかわいい

李鴻章が知的でクール

・愛すべき俗物の袁世凱

・ハードボイルドな張作霖

小説・ドラマとしての虚構を作るためという意味もあるんだろうけど、浅田次郎の願いというか、思いというか、願望というかそういうものが登場人物の性格や発言に反映されているんだろう。

 

出てくる人は多いんですけど、メモ取らなくても読み進めることはできます。ずっと前に出てきたきりで久しぶりに登場するときはさりげなくわかるように小説の中に書いてあるから。

 

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大連の旧満鉄本社ビル


とはいえ、昔の中国の方々なので、呼び方が色々なのですよ。西太后、慈禧大后、老仏爺、葉赫那拉の女 ......とかね。そのうち覚えちゃうけど。苗字と名前、字(あざな)、それにアダ名もあるから、覚えるまでが大変なの。だから登場人物のメモをとって、地図や付録の清朝帝室系統図を参照しながら小説を読み進めるとより深く理解できる気がします。

 

後半の主人公の一人の志津(陸軍特務機)がこう言っています。

「特務機関に配属されたとき、まっさきに命じられたのは地勢の暗記だった」

「まずは大連から北に伸びる南満洲鉄道の線を引く。次にハルビンから東西に、東清鉄道を描く。すると少しづつ、そのほかの路線や沿線の諸都市が焙り出されてくる」

 

本書にも付録の地図はついているんですが、あんまり細かくない。以前船戸与一の「満州国演義」を読んだときの地図も使いました。現代地図ではちょっとわかりにくいこともあるんです。清朝末期なので、現代中国と地名とかちょっとずつちがう。

浅田次郎とめぐる中国の旅」にはそのへんの地図や図録があるので、そちらを参考にするといいかもです。写真も多くて楽しいしね。

 

 

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小説は架空の人物を中心としてたくさんの実在の人物が出てきます。実在の人たちは、ネットで検索してその人物の写真を見て、顔を確認して、どんな面構えなのかを知って、そうして物語を読み進めるとまたおもしろい。

  

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「(張作霖爆殺や満州事変などの)昨今の関東軍は意のままにならぬ軍閥ではござりませぬ。無能な老臣にかわって若い世代の将校が、大規模で緩慢な、一見そうとは分からぬクーデターを起こしているのです」(天子蒙塵第2巻・梁文秀が溥儀に行った言葉。)

 

浅田のこの解釈はストンと腑に落ちる。

満州事変後の事態収拾に武藤信義関東軍司令官として赴任してきて、飛行場で石原莞爾に投げつける言葉など、もー、見てきたような緊迫感ですよ。すごい。

 

<<参考年表 >>

 

1580頃〜

本能寺、無敵艦隊壊滅、ヌルハチ台頭、秀吉の朝鮮出兵

          :

1600頃〜

英国東インド会社成立、関ヶ原徳川幕府、後金成立

1644 清の入関

          :

1703年 赤穂浪士討入(ときは元禄十五年、パン!)

1716年 暴れん坊が将軍となる(〜1751)

1735年    乾隆帝即位(在位〜1796)

          :

1750頃 英清貿易開始(広州開放)

          :

1840 アヘン戦争(〜1842)

1851 太平天国の乱(〜1864) 

1853 クリミア戦争(〜1856)

1853 黒船来航

1856 アロー号戦争(〜1860)

1857 インド大反乱(〜1859)

1861 南北戦争(〜1865)

1866 明治維新

1870 普仏戦争(〜1871)

1871 イタリア統一戦争終結

1871 プロイセンによる帝政ドイツ成立

1874 征台戦争

1877 西南戦争

1877 イギリス領インド帝国完成

1877 露土戦争(〜1878)

1883 清仏戦争(〜1883)

1894 日清戦争

1898    戊戌の変法

1899 ボーア戦争(〜1902)

1900 義和団事件

1904 日露戦争(〜1905)

1908  西太后崩御

1911  武昌蜂起→辛亥革命

1914  サラエボ事件→欧州第一次大戦

1917  ロシア二月・十月革命

1919 張作霖東三省掌握

1925 孫文死去

1926 張作霖の入関

1927 山東出兵(〜1928)

1928 張作霖爆殺・易幟事件

1931 満州事変

1932 満州国建国・リットン調査団

 

いや、こりゃ大変だ。

小説は1930年台半ばまで進んでるんです。

年表作り、チカレタビー。今日はこの辺にしといてやるかな。 

 

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