関西でときどき尋ねられる質問がある。
「クチキさん、言葉が... 関東のご出身ですか?」
「はい」
「関東はどちらで?」
「東京です」
「東京ゆうても、ほんまの出身は地方でっしゃろ。どこですか?」
出身を聞いて、固執して、どうするんですか? 「東京出身です」っていう人がいたらそれでいいじゃないですか。世間話ですよ。
要するに「東京東京ゆうてても、あんたは(or「あんたも」)、イナカモンやろ」と言いたいわけでしょ。ある意味とても無礼な礼儀知らずな質問だと思います。
先日、2017年の桜の回で終わってしまいましたが、ンHKの「京都人の密かな愉しみ」というシリーズ番組は好きでした。ただひとつ、あんまりだなぁって思うところがあったんです。
2016年の放送でしたが、「冬編」のエピソードのこんなやりとりです。
旦那さんと折り合いが悪くなって、東京から京都の実家に帰ってきた奥さんの役を戸田菜穂さんが演じていました。戸田さん、キレイな方ですね。
旦那さんが細かく、とにかくとにかくせこいんで、戸田さんは、やんなっちゃって実家の京都に戻ってきた。で、その「器の小さい」旦那さんを評して京都の実家のご両親が;
「おまえの旦那さん『東京ではこう、東京ではこう』ってゆわはるけど....あの人、出身は群馬やんか(怒)! 群馬も東京やおもてはるんちゃう?」
東京の人間にも群馬の方にも失礼ですよ。
似たようなやりとりが、「京都人の密かな...」の先日の最終回「桜」の中のミニドラマにも繰り返されていました。
京都の女子学生が演劇のオーディションを受けるんですが、「ねぇ、さあ」の東京弁をあやつる舞台監督に、関西訛りのイントネーションを指摘されてオーディションを落とされてしまいます。ところがその監督、実は「長崎出身」だった、というのが「オチ」のようになっているのですが......
あらまあ、まただ... やれやれ、です。
- 写真を見るだけで川のにおいを思い出すヽ(´▽`)/
東京弁は「ストレート」だそうです。そうでもないんだけどな、って思いますよ。山の手の言葉とぼくらの下町の言葉も随分違うし。落語聞いたことあるのかな?
ご自分のご出身、出身地に誇りや愛着を持つのは当たり前だし、ぼくもそうです。それはいいのですが、他の地域をおとしめる必要はないと思います。
京都の人が「イケズ」であることを書いた本が、大垣書店には平積みになっていたりする。どんな人たちが読むんでしょうかね。
「田舎者」とは自分は違うことを確認するために、かつては都人(みやこびと)だったけれども今は一地方になってしまった京都に生まれ住んできた自分たちが「いけず」であって、「いけず」であることで、他(よそ)とは違う優越性を確認する。そんなことを密かに愉しんでいるとしたら、ちょっと屈折し過ぎだと思いますけどね。
うしろの正面、だあれ?
僕の友人の京都の方々は、ごくごくフツーの人です。ここに述べたようなことをぼくが言うと;
「京都の人間って、みんなそんなんとちゃいますよ!」
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