〜 ハリセンボンのおびれ 〜

生活と愉しみ そして回想・朽木鴻次郎

2018-03-17から1日間の記事一覧

笑う女が教えてくれること

江北の黄某は生員であった。郷試を数度受けていたがいずれも上手くいかず、毎日くさくさとしていた。ある年の清明の頃*1である、読書に飽いて若葉の薫る庭をぶらぶらとしていると、誰かから見つめられている気配がする。さっと振り返ると茂みの後ろに女が隠…